「ここが黒の教団?…すっげぇ、お城みたい。」


目の前に高く聳え立つ、大きくて黒い建物。少し前までアクマに乗せてもらってきたんだけど、此処からは危ないだろうという事で徒歩にすることに。
ううん、俺自体はエクソシストに接触しても構わないんだろうけど、ノアの一族と接してるって事がバレたらやばい。間違いなく伯爵にミンチにされる。よし、なるべく地味に行って地味に行商と接触しよう。

「どうやって入るんだろ、これ」
『おーい、きみ、誰?』

声のする方を振り向けば、黒いゴーレム。あー…通信機、みたいな?

「ええと、行商、居ますか」
『えー何々!?俺に用!?っつーかお前可愛いーなー!』
『ブン太くん、ちょっとお前黙って』
『あ、そこの門番の身体検査受けて?』
「もんばん?」

も、もんばん?畜生、俺、そんな話聞いてなかった。今は――昼、3時頃?っつう事は『最強防御』だ。何でも跳ね返せる便利な能力。ちなみにこれは俺が名づけたんじゃない。リオンさんがこの能力を見たときに名づけたのだ。最悪なネーミングだ。そんなことを考えていると、にょきりと目の前から不気味な何かが顔を出す。


「レントゲン検査ー!」
「え、ちょ、待って!」

そいつから発せられるビーム?的なものに思わず能力を発動させる。すると俺の回りに透明の壁が現れ、ビームをそいつに跳ね返す。

「こ、このやろー。ビビらせるなよ」
「お前…今…!!!」
「え、なに?」
「こ、こいつ…アウトー!!!」

アウトって、何がだ。そう聞き返すもののそいつは「アウトー!アウトー!」と泣き叫んでいて俺の言葉には耳を傾けない。俺…何か悪い事した?だって、そんな、ウルトラマンみたいなビームいきなり出されたら誰でも吃驚するだろう。…ロードならきょとんとしていそうだが。
相変わらず泣きやまないそいつ。畜生、俺も泣くぞ、と思った瞬間、上から何かが降ってくる。…人?

「…」
「……?」
「…か、」
「?」
「可愛いさー!!」

くえすちょんまーくを浮かべる俺に、いきなり抱き着いて来るその人。いきなりのその行動に俺は着いて行けず、後ろに倒れてしまった。……この人、まるでティキさんとリオンさんみたいである。

「君、めちゃくちゃ可愛いさー!名前、何て言うの?」
「……(本名言わない方が良い…かな?)マイケル」
「マイケルちゃん!?…か、可愛い…?名前さね!俺ラビ!」
「ら、び?」

顔が近い、ラビ…や、年上っぽいからラビさん、だろうか。らび…らび…どこかで聞いた事ある名前である。とくに・・・リオンさんが何か言ってたなぁ・・・「ラビはの次の次の次の次の次くらいに大好きな」…なんだっけ?人妻?人妻好き?違う、それじゃあティキさんだ。…夫?いやまさか…おと、と…おとうと…弟…?

「そうだ、弟!」
「へ?」
「リオンさんの、弟だ」
「リオ、ン・・・?」

んう、と訝しげな目をするラビさん。ちなみに今現在も俺の上に乗っかっている。…この体制はティキさんがよくやるなあ。「、大好き」とか囁いてきて首元にキスしてくるからいつも蹴るんだけど。(ていうかその前に大抵リオンさんがティキさんを殴るんだけど)(あのあ2人本当仲良いよな)
そしてラビさんは辛辣な表情で口を開いた。

「あいつ…今、ノア…の筈なんだけど…」

………あ、どうしよう。