-番外編-





ああ、うう。今日もブン太さんってば美しかった。なんというか、ファンキーなのだ!回りが輝いて見えるのだ!(これは決して、近くにいるジャッカルさんの光る頭の所為ではない!)



ー!帰ろうぜぃっ」
「はい!」


あたしを見つけりなり、後ろからむぎゅうと抱き閉めてくるブン太さん。これはつ、付き合う(うわー!響きが恥ずかしい!)前からブン太さんがやっていたことである。流石に恥ずかしくて「ブン太さんってスキンシップ激しいですよね」とわざと嫌味ったらしく返してみたことがあるのだがその時は「大好きなもんは我慢したくねぇんだよ」とニヤリ、と笑われてしまった。こ、このやろう、だ!
そんなブン太さんだから、最近はあたしばかりドキドキしてる気がしてならないのだ。あたしも、ブン太さんをドキドキさせたい!


「ブン太さん」
「ん?」
「ブン太さんって、女の子のどんな仕草にどきっ!て来ます?」
「はぁ?何で?」
「え、な、内緒です!」
「え――教えろよー」
「いーやーでーすー!内緒なんですー!」
「教えろぃ!」
「や、――は、あはははは!」


ひい、くすぐったい!!も、もう限界だ!
ブン太さんに数秒くすぐられて、もぞもぞと抵抗してあたしは何とかブン太さんと少し距離を置くことが出来た。


「教えてくんねーとまたくすぐるぜぃ?」



――にやり。あたしは、このブン太さんの笑顔が苦手だ!ど、ドキドキするというか、直視出来なくなる。それに、くすぐられるのはもう勘弁である。あたしはしぶしぶ理由を言うことにした。


「だって…ブン太さんを、ドキドキさせたかったんだもん…」


その後に「あたしばっか、ドキドキしててずるい…」と呟く。くそう、恥ずかしい。あたしはブン太さんの顔を見れずに俯きながらそう言う。顔の熱が、上がってくのを感じる。(うわあ、はずかしい!)
――…、ブン太さんの、反応がない。あたしはおそるおそる顔を上げた。


「――、ブン太、さん?」
「うわ、見るな!あっち向いてろぃ!」
「顔、真っ赤…」
「う、うっせ!」


ブン太さんは、耳まで赤くして、それを隠すように片手で口元を覆っていた。赤い髪なのに、顔まで赤くしてどうするんだろうか。それでもブン太さんは相変わらず「見る、な、」と顔を赤くさせる。も、もしかして、ブン太さんったらどきどきしてくれているのだろうか!――っていうか、ブン太さん、可愛い…!
あたしはブン太さんにぎゅ、と抱きついた。


「っわ!な、何!?」
「えへへー。こうすれば顔見えませんよー」
「〜っ」


どきどきしてる。あたしもブン太さんも。それが嬉しくって思わず頬が緩む。するときゅ、と抱き閉められる感覚がした。な、なんだか自分でやっといてあれなのだが、これすっごいドキドキする!だ、抱き閉め合うってまるで彼氏彼女みたいだ!(あ、彼氏彼女だった!)


「ぶ、ブン太さん」
「…何だよ」
「へへ、ドキドキしますねー」


一瞬、ブン太さんの息を呑む声が聞こえた。その後、さらにブン太さんの腕の力が強まった。あたしはそれに吃驚して「ひゃふ!」…なんて、言ってない!断じて言っていない!そんなかっこわるい台詞は決して言っていないのだ!
ブン太さんは、あたしの肩に自分の顔を押し付けた。


「――
「は、はい」


「……襲って、良い?」


「――っっ!!!?」
「……」
「ぶ、んた、さん…、!」
「――冗談(でいれたら良いんだけど…)」
「そ、そうですよね、じょ、冗談ですよね!」


――やっぱ、あたしばかりドキドキしてる気がする…!
あたしとブン太さんはその後数十秒間抱きあってたのだが、うん、やっぱ人通りも気になるのでその後は何もなかったかのように微妙な距離を置いて歩きだした。…微妙な距離が、すごく恥ずかしい。