聞けば聞くほど本当、これは夢じゃないのかと何回も思った。

レグランデ、という所は数名のメンバーで構成される秘密組織らしい。あの・・・その、マフィアというもの・・・いや、信じないけど!信じられないけど!この世界にはマフィア、がいるらしい。で、そのマフィアに依頼された仕事をするのがレグランデ。ヒキさんはリーダー的存在で、依頼の窓口だ。そしてヒキさんから伝えられた依頼を私達メンバーが実行するらしい。
メンバーは私以外に2人。吃驚だ。少なすぎじゃないのか。その2人の内の1人がこの少年、カイくん・・・と言っても私より年上っぽいが。残る1人はハルさんと言って切れ目ショートが特徴だ、と教えてくれた。カイくんは「ツンデレだよ、ハルは」とか言ってたけどなんだかカイくんは当てにならないので信じないでおこう。

そもそも私は、本部の真ん前に倒れていたらしい。レグランデは秘密組織。場所なんて簡単に分かる筈がない。うん、そりゃあ警戒して様子を見に来ますね、うん。敵にしちゃあボロボロすぎるし、味方なんてメンバー以外いない。しかし私が女、ということもあってヒキさんは心配して怪我を調べようとしたのだが、体に触れようとした瞬間青白い稲妻が走り電撃の様な痛みが伝わったという。
そして私は失神。すると、体に触ってももう電撃は走らずそのまま運び込んで手当てをしてくれたらしい。なんだそれ。私電気人間か。


「多分ね、君、何かのショックで記憶がなくなってると思うんだ」
「記憶・・」


そんな筈はないのだ。しっかり覚えてる。自分の名前も、大好きなあの人のことも、一緒に居て楽しい友達のことも全部全部覚えているのに。


「君は危険だ。・・・命、狙われると思うよ」
「――っ」


いや、ありえないだろう。・・・と、さっきまでの私なら言ってたに違いない。だけどヒキさんの目は本気で。この体の痛みも夢じゃないことをしっかり教えていて。


「レグランデに居れば、命の保障はする」


だから、気付いた。


「任務に失敗して此処から追放されたその時は・・・命の保障はしないけどね?」


此処は、私の居た世界じゃない。


殺人者行進曲・完