幸村さんの衝撃の告白から数日が立ちました。
あれからお互いの携帯番号を交換して……もう夢の様な日々が続いてるんです!これは、夢じゃないよね…!













、幸村先輩が呼んでるよ!」
「幸村さんが!?わ、分かった!」


小走りで教室のドアへと向かうと、にっこりと微笑んでる幸村さんと目が合った。う、わ、――何か、本当に彼氏なんだなぁ…なんて思うと、顔が真っ赤になってくのが分かる。未だに慣れないんだ!幸村さんの微笑みには!


あたしと幸村さんが付き合う事が決定すると、クラスのみんなはあたしを褒めてくれた。「よく頑張ったな!」だとか「さん良かったね!」だとか。
幸村さんは…めっちゃ人気がある。だからファンの子達にあたしは恨まれるんじゃないだろうか!…とか思っていたんだけど、それは間違いだった。これは後から分かったのだが、あたしは学校の全生徒から応援されていたらしい!うう、泣かしてくれるじゃないか、このやろー。


幸村さんの目の前に立つと、ニコ、とまた幸村さんは微笑んだ。(ひぃぃ、かっこういい!)


「幸村さん、どうしたんですか?」
「ちょっと話したい事があってさ」
「…話したい事?ですか?」
「うん、まぁ…お願い事かな?」
「幸村さんのお願い事でしたら、あたし何でも聞きますよ!」
「ふふ、本当?嬉しいな。」
「で…お願い事って何ですか?」
「あのね、テニス部のマネージャーになってくれないかな?」


て、てにすぶのまねーじゃー!?思わずあたしは聞き返した。
テニス部のマネージャーって…!た、確か真田さんや柳さんの厳しい審査を受けてなれるというあのアレか!しかもその審査と言うのは、容姿、運動神経、頭脳やら何でも完璧じゃないと駄目らしい…!
それにそれに!マネージャーになれても大体の人が辛くてすぐやめてしまうとかゆう…アレか!


「駄目かな?」
「だ、駄目も何もあたしには無理ですって!」
「どうして?」
「だってあたし不細工だし運動音痴だし頭はまぁ自信ありますけど体力無いですし!」
「俺はさ…に傍に居て欲しかったんだけど…駄目、かな?」


首を少し傾けて寂しそうな顔をする幸村さん。
ちょっちょっちょ!そのポーズ反対ですって!そんなぽーずされちゃったら断れないじゃないですかこのやろー!


「う…だって、マネって…真田さん達の審査も無いといけないんじゃ…」
「それはもう話してあるよ。それに俺部長だし。」
「あ、そうか!幸村さん部長だったんだ!」
「もしかして忘れてた?」
「――――う……ちょっとだけ、です…!本当にちょっとだけですからね!」
「ふふ、分かってるよ」
「うぅ…」
「それで、マネやってくれるかい?」
「あ、あたしなんかで良いんでしょうか…」
「うん。丁度マネ募集してたしね」
「じゃぁ…やり、ます」
「本当?嬉しいな。じゃぁ、放課後迎えに来るね」
「は、はい!」


ふわり、と優しく笑う幸村さん。ううわあ、顔が、顔が!幸村さんに好い加減あたしも慣れなきゃな…!
じゃぁ、またね と笑うって幸村さんは去って行く…あぁ、美しいよ幸村さん!大好きです!あんな人があたしの彼氏だなんてもう自慢しまくりたい!


幸村さんの姿を見送りながら、教室に入ろうとすると…急に女の子の黄色い悲鳴が廊下中に木霊した。
な、何だ!?もしや…幸村さん!?いや、幸村さんはあたしと付き合ってからは黄色い悲鳴はなくなったのだ!(多分、みんなの優しさだ!)という事は…幸村さん以外のテニス部…?
――――気になってる訳じゃない!あ、アレだ!確か…落し物を!そうだ、落し物をたまたま黄色い悲鳴の方向に落としたのだ!そうだ、これは確認す「おい、お前さん」


「ッギャァ!!」
「…色気の無い悲鳴。」


肩にぽん、と手を置かれる。誰だ!本気で吃驚しちゃったじゃないか!
恐る恐る振り返ると…そこには、

「ッ!!!(こ、この人!)」
「仁王雅治。お前さんの彼氏の友達じゃ。よろしく」
「…あたしはじゃありません!!」
「…お前さん馬鹿じゃろ」


この人…コイツは!!かつて幸村さんと一緒にあたしの事ウザいキモい言ってた人だ!(いや、言ってなかった気もするけど)
関わりたくない!この人にはただでさえ変な噂が沢山あるのだ!
中3にして女を100人抱いただとか…タバコや薬にも手を出してます!だとか…!!


ダッシュで逃げようにも、それはそれは恐ろしい力で仁王さんはあたしの肩を掴む。(ちょ、痛いですよ!)
「離して下さい!」と小さく叫んでも、仁王さんは「嫌じゃ」と言って離してくれない!(その間も黄色い悲鳴はやまない)
もう半泣き状態の時――神様はあたしを救ってくれた!キーンコーンカーンコーンと授業開始のベルが鳴ったのだ!


「チッ…もう授業か」
「は、離してください、」
「お前さんマネやるんじゃろ?」
「そんな事貴方に関係ないじゃないですか!」
「関係大アリなんじゃが…お前さん、本当馬鹿じゃ。
 まぁ…良い事教えちゃる。」


知りたくないですよ!と声を荒げるものの、仁王さんはニヤリと笑ってこれまたとんでもない事を言った。




「俺の趣味はな、人の女を取る事じゃ。特に――幸村の彼女とかじゃったら尚更のう……」