事実上の真実、あたしと宍戸亮は付き合ってる。あのクリスマス以来前より比べてカナリラブラブにんっちゃいましたテヘヘなんてイベントはなく、いつもの様に友達のような関係のあたし達。
あまりの友達オーラ全開にたまにあたしとこいつは本当にカレカノなのかとか忘れかけてしまう時がある。

「うわ、今日あたしが当たる日じゃんか。宍戸、ノート」
「…俺はノートじゃない」
「そんな冗談言ってる場合かコラ。今がチャンスだ。貴重な休み時間なんだぞ。ノート見せやがれ」
「頼む時の態度ってもんをお前は知らないのかよ」
「ノートノート…あったあった。」
「話聞けよ。」

宍戸の鞄を漁って発掘したノートを手にして、さて次はノートを写さなければならないと言うのに…あたしは宍戸に呼びとめられた。どうした宍戸君。キミに構ってるヒマはないんだってば。

「お前、さ」
「あ?」
「お前さぁ…昨日、」
「昨日?何?なに?ナニ?」
「――…やっぱいい」
「宍戸知ってた?その答えが一番ムカつくんだってば」
「あぁ……、」
「…宍戸?」

本当にどうした宍戸君。何かを深く考えた様に宍戸は目を伏せる。――気持ち悪いな――とか言ったら殴られるよなぁ。ちょっと、何でそんな暗い顔をするんだよ。すごく心配になっちゃうじゃんかよ。
あたしは宍戸の顔を覗きこみながら訪ねた。

「宍戸、何かあった?今日元気ないね」
「……」
「無視?」
「……」
「え、マジで無視なの?怒ってるの?え?マジ?――1人になりたい時ってヤツか?」

少し焦りつつ宍戸に問いかけるけれど、肝心の答えは帰って来ない。あれか、これは友達に相談した方が宍戸にとっては良いんじゃないだろうか。うーん、友達になら話せる事ってあるよね。宍戸も思春期な訳ですし。
あたしは諦めて宍戸の元を立ち、近くに居る宍戸の信頼出気る友達を探す。あー…あのピョンピョン飛び跳ねてる向日なら宍戸も悩み相談できるかな。(相談したは良いけれど解決にはならなさそうだけどね)

「向日、向日」
「おー。何だ?あ、お菓子なら持ってねぇぞ!」
「え、マジ」
「お前ー!やっぱお菓子目当てだったのか!…慈朗なら持ってたぜ」
「あ、本当?慈朗何クラス?」
「F」
「F組って何処だよ」
「お前それ本気で問いかけてる?」
「……」
「しょうがねぇなぁー。俺が一緒に「岳人、」

気が付けば、隣に宍戸。うわ、マジで気が付かなかった。(お前は忍びか)あー…あ?そういえば話反れてたな。向日からお菓子を取り上げようとか考えてなかったのに。っていうか宍戸復活か?あたしなんか無意味じゃんけ。

「向日、ちょっと悪ィ。に用がある」
「んー?俺は別に良いけどな。あ、さてはカレカノの密会ってやつか!」
「は?あんた馬鹿じゃないの?単細胞消滅したでしょ」
「うっせーな!くそくそ!お前の母ちゃんでーべそ!」
「あんたの父さん雷小僧ー!」

あたしと向日は口論を繰り広げるものの、宍戸に右腕を引っ張られて向日との距離はどんどんあいていく。(その間も口論は続く)あたしが「向日なんて丁髷になってしまえー!」と叫んだところであたしと宍戸は教室を出て廊下に出た。
廊下も暖房がついてる筈なのに、誰かが廊下の全部の窓を全開にしている所為で効き目0だ。その所為か廊下には誰も居ないじゃんか。誰だよこんなイタズラしたの!

「お前さぁ、」
「何だよ」
「お前さ、俺の事嫌いになったのかよ?」

「は?」あたしの口から出た言葉はコレだった。宍戸はバツが悪そうに目を伏せてて、でもなんかほんのり顔が赤くて、「ずっと言いたかったんだ」って顔をしていた。

「田沼…昨日向日と遊びに行ってたって言うし今日も仲良さそうに話してるしよ」
「…なんでそうなんのよ。」
「……どうなんだよ、」
「向日とはただの友達だって。」
「……ふぅん…」

何だよその返事は、むかつくなぁ。向日とは本当に友達だ。昨日のあれは向日の妹の誕生日プレゼントを選んであげてただけだっての。(「何であたしなんだよ」「他の女子だと恥ずかしいだろ」「あたしとは恥ずかしくないのか」「あぁ、多分女として見れて無いからな」「死ね」「お前がな」みたいなノリだった。)

「宍戸、」
「……」
「返事しろよ」
「……」
「ッもー…なんなの…違うって言ってんじゃん…」

ぽろぽろと涙が流れる。今のあたし達の雰囲気はあれだ。「しばらく距離を置こう」的な台詞が自然と出てきちゃうあれだ。そしてそのまま自然消滅とか言う一番嫌なパターンのアレだ。
何であたしは此処まで疑われなきゃいけないんだ。そこまで信頼がないか。そう思うと涙が止まらなくなってああ、泣く位あたし宍戸のこと好きなんだだなんてこの場に及んで思っちゃったりして、

「あたし、宍戸の事好きなんだよ」
「…」
「どうして、信じてくれないの」
「…」
「宍戸こそあたしの事嫌いなんじゃん……ッ」

いきなり、腕を引っ張られて宍戸に抱きしめられる。胸板に押し付けられてああ、これで顔見られずに泣ける訳だ、だなんて意味分からないことを考えてて宍戸はあたしの肩に顔をうずめてこう囁いた。





「好き過ぎて…どうしていいのかわかんねえよ」





(あたしもだよ、って言ったら貴方はどうしたかな。不器用な貴方が凄く愛しい)