「財前くーん、部活お疲れさんっ！」
「おおきにさん」


にこにこしながら財前くんに走り寄ると、財前くんもにこにこしながら手を振った。


「うわァ、やー！」
「金ちゃん！お疲れ様〜」
「俺なぁー、知っとるで！と光付き合うとるんやろー！？」
「えっ！？だ、誰がそんな事言うてたん！？」
「白石やでぇ！」


白石…、そうだ！昨日財前くんと居るとこを見られたんだった。
口止めしといたのに結局言ったんや。最悪や！

白石を睨みつけると、当の本人はにこりと笑って手を振ってきた。あ、後でしめたる…！


「金ちゃん、誰にも言っちゃ駄目やで？」
「何で？隠すことないやん」
「と、とにかく言っちゃ嫌なん！分かった？」
「分かった！けどなぁ、もうみんな知っとるでぇ？」
「は！？」


千歳や忍足を見ればみんなこっちを向いてニヤニヤしてて。
くっそー！事の発端は白石や！あの腹黒大魔王ーっ

もう１度白石を睨みつけたら、「何や？は俺の事好きなん？駄目やで〜、彼氏居るのに」だなんて言われたからムカついて無視した。


「別に良いやん、さん」
「そ、そうやけど…なんか恥ずかしいやん…？」
「そう？俺は恥ずかしないで」


にこりと笑う財前くんの顔を見て自分の熱が上がるのを感じる。
それを見て忍足は


「照れた〜が照れたで〜」
「やかましいわ忍足！ほっといてや」
「なんなん？どっちがリードしとるん？」
「なっ何をや！」
「んー俺かなぁ」
「は？何言うてるん財前くん！」
「あれ？さん自覚ないん？」
「じ、自覚て何のこと――、」


財前くんが、あたしの頭を掴んで自分の顔に引き寄せる。
ちゅ、という音を立てて離れていく唇。


「これでもさんに合わせてるんやで。ほら、最近腰が痛いって唸ってたやないですか」