例えばあの女は誰なんだとか、何であの時マンションの前であたしの知らない他の女とキスして抱き閉め合っていたのとか、聞かなければいけない事は山ほどある。解決しなきゃいけない問題もたくさんある。こんなに辛いなら恋とか心とか全部全部無くなってしまえば良いと思った事だって沢山ある。もっと言えば殺してしまいたい程貴方を憎んだこともある。貴方の顔をずたずたにしてしまえば貴方に近寄る女なんて居なくなるでしょ?だってどうせみんな容姿が良ければ誰だっていいんでしょ?でもそんな醜い想いは貴方に会えば全部消えちゃうんだ。不思議だね。


、帰ろうぜぃ!」



にこにこと微笑む貴方が大好き。そう言って手を握ってはにかむような笑顔をあたしにもう1度見せて。そしたらあたしは心臓が必要以上に高鳴って貴方の事しか考えられなくなるんだ。ねぇ、お願い。もう1度あたしに向けて笑って。あたしを見て。手を握って。抱き閉めて。キスをして。傍に居て。


『あ?今?無理に決まってるだろぃ。来週、な!』
『ブン太ぁ、何電話してるのぉ?早く続きしようよぉ』
『分かってるって――あ、こっちの話。おう、またな!』



愛する人は運命的に決まってるって誰かが言ってた。もし本当にそうなら視界に入るもの全部受け入れてしまえば良い。解ってる。解ってるんだけどそれが出来ない。貴方しか見えない。だってあたしは貴方が運命の人だって信じてる。でも本当は貴方は運命の人じゃないって知ってる。でもその真実を必死に否定してるんだ。全部、全部知ってる。ただ、受け入れたくないだけだって事もちゃんとちゃんと知ってるんだ。


「好きだぜ」



真剣な瞳で呟いてあたしにキスをしてくれた貴方にもうどの位会ってないと思う?この前数えてみたらちょうど1ヵ月になってた。―知ってるって。この恋はもう終わってるって。それでも諦めないでいたらいつか戻ってきてくれるんじゃないかな、って思ってるだけ。ねぇ、健気な女でしょ?その辺に居る簡単に腰振ってる女とは違うんだよ。



               



問題はなんにも解決しないのに会いたくなっちゃうんだよ。もう、嫌になる。