「〜帰ろうぜぃ」
「うっす!帰ろう!」
夕方、校門で2人はそう会話を交わし歩き始めました。
「ブン太、ブン太、聞いた?」
「何を?」
「6組のさぁ、と向日が付き合ったってさ!」
「あ〜、聞いた聞いた。アイツ等仲良かったもんな〜」
「本当嬉しそうだったよ」
肩を並べて歩く2人は、他人から見ればカップルにしか見えません。
だけれど、2人はそれに気付く気配が一向にありません。
―――トン
一瞬、の左手とブン太の右手が触れました。
2人の顔は真っ赤っかに染め上がります。
「最近、カップル増えたよな」
2人の手は1回お互いの手を避けるようにして離れます。
「増えたね!学校中ラブラブだよ…」
ブン太は明後日の方向を向きつつ、さりげなく自分の右手をの左手の方へ近づけます。
「俺等もラブラブだろぃ!」
―トン
もう一度、2人の手が触れ合いました。
今度は2人とも手を避けません。ブン太はさりげなくの手を繋ぎました。
「――(手、手が!)うん、ラブラブだね!」
「――(手、手繋いだ!)あのさぁ」
「うん?」
「俺さぁ」
「うん?」
「の事がさぁ」
「うん?」
「好「あ!と向日だ!ラブラブだね〜!お2人さん!」え?」
は右手で前の方で歩いていた達に手を思いっきり振りました。
が振り返って手を振り替えしたのを見ると、は笑顔で達に駆け寄って行きました―ブン太と手を繋いだまま。
ブン太は一瞬呆気に取られていましたが、に手を引っ張られてようやく我に帰りました。
「あれ?丸井とも付き合ってんのか?」
「あ、本当だ。手繋いでる〜!」
「「―ッ違う違う!」」
2人は顔を真っ赤にし否定します。手も一瞬の内に解けてしまいました。
「付き合ってんだろ!?」
「付き合ってねーよ!」
「付き合ってるんでしょ!?」
「ッ誰がこんな奴!」
「なっ!?俺もお前みたいな奴となんか死んでも付き合いたくないね!」
「―!ムカつく!」
「「(微笑ましいなぁ…)」」
あと一歩が踏み出せない僕らでした
いつになったら気付いてくれるのかな