「坂本さんのばかー。あほー。どじー。まぬけー。」
、それ6回目アル」
「だって神楽ちゃん、よーだい言うても当然ちや!これじゃあ快援隊入った意味ないろー・・・」


あたしが万屋に来て1週間が経つ。あの日、あの夜。坂本さんは確かに「今度からもわし等と一緒に来るち」って言ってくれた。その言葉の通りあたしは翌日から快援隊に入り、陸奥さんや坂本さんと一緒に楽しくやっていたのに。
坂本さんってば、「今回は危険やき、わしの友人の所で待ちとおせ」って言ってあたしを此処、万屋といううさんくさい所へ預けて行ってしまったのだ。勿論あたしだって嫌がった。何のために快援隊に入ったのかって、それはずっと坂本さんと一緒に居たいからなのに。もうあんな思いはしたくないのに。坂本さんに真剣な表情で「そんなにひせりゆうても、今回は駄目じゃ」と言われてしまった。陸奥さんも黙ってるし。


「あたし、お荷物ながかぇ・・・?」
ちゃん、そんな事ないですって!」
「や、そうかもしんねーぞ。ってか普通に考えてお荷物だろ。銀さんは分かるんだぜー」
「ちょっと銀ちゃん!何言うアル!本当の事は言っちゃ駄目ヨ!」
「だからこれを気に、あんな頭カラ野朗なんかより俺に乗り換えたらどう?ね?それが良いよー?」
「銀さんに神楽ちゃんも!・・・ちゃん、今の言葉は気にしないで良いんだからね?」
「・・・、あたし、元から坂本さんの事なんて好じゃないもん・・・、坂本さんがいつも1人で恋人、恋人て騒いどるだけじゃもん・・・」
「え?そうなの?なら良いじゃん。俺と付き合おうよー。銀さん優しいよ?世界一優しいよ?」


どすん、と隣りに座り、あたしの腰に手を回す銀時さん。(なんか坂本さんみたい・・・銀時さんと坂本さんって何か似てるんだよね・・・おじさん?天パ?セクハラ?・・・あ、似てるとこ沢山あるじゃん)後ろで新八くんが「銀さん!セクハラしないで下さいよ!」って騒いでる。・・・あたし、銀時さんと付き合っちゃおうかなあ。・・・本当、坂本さんとは・・・付き合ってなんかないし。うん、そうしよう、かな。っていうかそうしてやる。


「あたし・・・銀時さんと付き合う」
「え?ホント?銀さん本気にしちゃうよ?え?マジで・・・マジでエエエエエエエエエ!?」
「わー!熱愛発覚ヨー!」
「えっ!?ちょっとちゃん、何で銀さんなのォ!?君には坂本さんが居るでしょォォォ!?」
「なんちゃーない・・・坂本さんなんてごくどーでアホじゃし。銀時さんのがええ!」
「だよねー坂本なんて極悪のアホだよねー!!じゃあちゃーん、俺の事銀時って呼んで?ね?俺もって呼ぶから」
「・・・銀時、」
「はあい」


語尾にハートマークをつけて。銀時さんはあたしに抱き着いて来る――と思いきや、そのままあたしをソファーに押し倒し、にこりと笑った。


「神楽、新八。大人の時間だから向こう行ってなさい」
「ちょっと銀さん!」
「おうよ!任せとけ銀ちゃん!」
「え、神楽ちゃん!?ちょっと、え、マジで!?マジでエエ!?」


ずるずると遠ざかって行く新八くんの声。銀時さんはそれを確認するとさらに笑みを深くした。


「大丈夫。初めてっしょ?優しくするから」


・・・この台詞、聞いた事ある。坂本さんも、言ってた。坂本さん、今何してるかな。会いたいなあ……ってあたし何考えてるんだろう。銀時はチュ、わざとらしく音を立ててあたしのおでこにキスを落とした。・・・なんか今、無性に切ない。1週間、だよ。連絡もなにもない。坂本さん、なにやってるの?元気なの?あたし、また・・・置いていかれたの・・・?


「――う、ふえ・・・」
「・・・?」
「なにしちゅーよ、坂本さん・・・」
「・・・」


あ、なんか涙出て来た。いやだ、止まんない。怖い、よ。頬から留めなく流れる涙を、無表情の銀時さんは親指で拭う。


、俺の彼女になったんだよね?」
「――っ、う?…は、い・・・」
「他の男の事なんて、彼氏の前で言うモンじゃないよ?」
「〜っ!ぎんと、き、さっー、」
「銀時、でしょ?」


銀時さんが、あたしの首筋を舐め上げる。突然のことに吃驚して、「ひゃっ!」と変な声が出てしまった。それでも銀時さんは行為をやめないで、あたしの服の下へ手を侵入させる。


「やっ・・・!――っ!」


冷やりとした感覚。うわ、これきっと銀時さんの手だ。いやだ、いやだ。――そんな時、どたどたどたと遠くから物音が聞こえてきた。





!今戻ったぜよー!!」





「「あ。」」




その後の坂本さんと銀時さんときたら、ものすごかった。「金時ー!わしのに何しゆー!」と拳銃を懐から取り出す坂本さんに、銀時さんは「だっては俺の彼女だもん!」とまあさらに坂本さんをキれさせる発言をしてしまい、「だきな!だきな奴じゃおんし!ちくとば目え離しちょったらすぐコレか!」と坂本さんはパンパン!と発砲しだしてしまった。そこに腰に巻きついた神楽ちゃんを汗だくの顔で引き摺ってきた新八くんが帰宅し、「あんた人の家でなにやってんだアア!」とキれて2人の乱闘に飛び入り参加。「面白そうネ!」と言って神楽ちゃんも参加。どうしよう、コレと思ってるときに、すたすたと澄ました顔で現れた陸奥さん。久しぶりに会う陸奥さんが、無傷で、ああ、本当大怪我とかしてなくてよかった!とか思ったら泣けてきちゃったたしはそのまま陸奥さんに抱きつき、1週間ぶりの再会を果たした。