「母ちゃん。宿題分かんねぇ」
「ん?どれ?」
「ここ、ここ。」


ああ、気にいらねぇ!
何が「分かんねぇ」だよクソ。あいつ、学校でめちゃめちゃ成績良いのに。学年トップ3常連だぞ!
秀太はいかにもわざとらしくの隣りに詰め寄る。アホ、は俺の嫁だってーの!


「これはさ、ホラ。あれだよ。素因数分解的な。」
「なるほど。じゃあ、こういうこと?」
「そそ!偉いねシュータ。よしよし」


あーもう!なにも秀太の頭撫でてんだよ!
秀太はそれで機嫌を良くし、満面の笑みをに向けた――と思いきや、俺を横目で見てニヤリと笑みを零した。
(ちくしょう!こいつ変なところで腹黒い!誰に似たんだよ!)


「おい秀太!お前もう寝ろ。」
「えーまだ起きてる」
「お子様はもう寝ろ。是非とも寝ろィ。」
「嫌だ」
「シュータ。明日早いでしょ?お父さんの言う通り寝なさい?」
「うん、お母さん!」


なにコイツ!見事な二面相!ほんっと生意気!














「本当そっくりに育ったね。秀太とブン太」
「・・・・・・。」


秀太が寝室へと向かい、リビングには私とブン太の2人きり。
ブン太はむす、と顔を顰めて私の元に近寄ってきた。


「あいつ、頭良いんだぞ」
「それはつまり私のおかげだ」
「(・・・・・はあ、)甘やかし過ぎじゃねぇ?」
「そうかな?」
「・・・お前、あいつに構いすぎだろぃ」


ブン太が隣りに座ってきたことで、私の座っているソファーがぎし、と音を立てる。
なんだなんだ。どうして機嫌が悪いんだ、ブン太は。
中学生の時もブン太は私が仁王くんと喋っていただけで2日間くらい機嫌が悪かった。つまりブン太は独占欲が強い。





ねぇ、俺のムスコも構ってよ






胡坐をかいた状態で、膝に片肘を立て相変わらず不機嫌顔のブン太。





「うん、だからシュータ構ってるじゃん」





――なにいってんの?
私が呆れた様にそう言えば、旦那様は盛大な溜息をついた。





二人にが一匹





「おはよ、ブン太」
「”お父さん”と呼べ。」
「ブン太も大人げないね」
「は?」
「――『俺のムスコも構ってよ』ねぇ・・・華麗にスルーされてんじゃん。だっせー(にやにや)」
っアホ!クソ生意気シュータ!!!!