3Cと言えば普通、何が思い浮かぶだろうか。という質問を俺の友人が校内でやったことがある。大した理由はないらしいが、あえて言うなら知名度チェック、といったところだろう。 さて一番多かった答えはなんだったと思う?三種の神器、カー、クーラー、カラーテレビ?普通の人ならそうだろうが、答えはまったく異なったものだったらしい。 これは俺自身ちょっと誇らしかったんだけど、友人の校内アンケートの結果、氷帝に通う生徒の場合はほとんが と、答えたと言う。 「!どうだった?」 「反省文10枚。前に比べて3枚もレベルアップしやがった」 「お〜・・ま、指導にならなかっただけマシじゃね?」 「まーな」 何がまずかったんだ?今回は俺、比較的に可愛いらしいイタズラだと思ったのに・・ 溜息と共に椅子にすわり作文用紙を取り出す。 数ヵ月前までは先生が作文用紙をくれたけど、いつからか自費出版になった。抗議したら「お前反省文書きすぎだから。勿体ないし自分で買え」って言われた。 反省文の紙を常備している学生なんて多分世界中で俺だけだ。 「だっり〜・・おい宍戸。お前も手伝えよ」 「ヤダ」 「くそ!俺だけに責任押し付けやがって!チネッ」 「今回は明らかにお前単独だろチネッ」 そんなことを言いつつ俺の手は順調にシャーペンを走らせていく。反省文のプロとは俺のことだぜ!・・自慢できることでもねぇけど。 「もう俺らも3年生か・・」 「中学最後だぜ!楽しまねぇとな!」 「向日と芥川もいるしな〜」 「な!男テニがこんなに集まるのも珍しいよな!」 宍戸が言っている男テニっつーのは普通の部員じゃなくてレギュラーのことを言っているんだろう。部員200人もいるし。まっ俺は準レギュラーだけどね!!悪いか! でも俺も凄いなあって思うよ。だって氷帝はすげー生徒数で、3年生だけでも20クラス以上あるから。ちなみに俺達はCクラス。Tクラスまであんだぜ。ちょっとヒくよな。 「高校行ったら内申気にしないといけないからさ〜俺はこの3C楽しみまくるぜ!」 「中学でも内申とか気にしろよ」 「中学は良いんだよ!なんか義務教育だし!?」 「意味わかんねーわ」 よし反省文終わった!10枚なんてチョロいぜ!「反省しています」だとか「先生方の信頼を〜」って繰り返し書いてればすぐに埋まる。これは俺が小学生の時から書き続けた反省文の知恵だ。 そういえば小学生のころはマス目が大きくて楽だったな・・俺中学に入ってびっくりしたもん。何このマスの小ささ!って。最初は4マスで1マスかと思った。ちょうど正方形だし。でも4マスに1文字ずつ書いて提出したらげんこつで殴られた。酷いよな、俺まだその時12歳だよ!? 手を休めて宍戸の顔をうかがう。宍戸はポケットに手を突っ込んでニヤニヤしてた。 なんだかんだ言っても、こいつもこれからの1年間を楽しみにしてんだな。 「また反省文〜?」 「だっせー!」 何処かへ行っていたらしい芥川と向日が調度教室に戻ってきた。2人も相変わらずニヤニヤしている。「うっせーバーカ」と悪態をつけば芥川は笑いながら俺の机に腰を下ろした。馬鹿野郎、俺の机に座っていいのは可愛い女の子だけだなんて思ったけど細かいことは言わないでおく。器の小さい男って思われたくないしね! 書き終わった反省文をホチキスで止め、やつらの顔色を伺う。 机の上に座る芥川。近くの席の椅子をひっぱて来てそれに座る向日。ポケットに手をつっこむ宍戸。やべぇ、最高の面子じゃん。 「なぁ、まず何をしようか」 人生楽しんだもん勝ちだろ? |