「ひぎっ!!」
「色気のない悲鳴じゃのぅ」


余計なお世話だ!
あたしの背中にぴったりとくっつくもの。それは紛れもない仁王先輩。
なんで急に抱きついてくるんだ、この人は。

「なんなんですか!放して下さい!」
「えー」
「『えー』じゃありませんー!」
「あー」
「〜、仁王せ・ん・ぱ・い!怒りますよ」
「甘えたいお年頃ナリ」

嘘をつけ。
仁王先輩が甘えたいお年頃だったらあたしは何なんだ!
心の中でそうツッコミをいれながらも、必死に仁王先輩の腕の中でもがく。

「少しは落ちつきんしゃい」
「余計なお世話です!」
「可愛くないぜよ?」
「〜ッ!!」

ざらざらとした感触。ソレはあたしの首筋を舐め上げる。
その初めての感覚に思わずビク、と体が跳ねるが、仁王先輩はあたしを離そうとはしない。

「ひぅ」
「・・・感じた?」
「か、感じる訳、ない!!」

耳元で囁かれたその言葉に我慢出来なくなったあたしは、思い切り仁王先輩の腕の中で動く。
ようやくつき離し、すぐに仁王先輩と距離をとる。
仁王先輩はにやり、と不敵な笑みを漏らし「顔、真っ赤」と言葉を紡いだ。





せをむけてはいけません