1人取り残された俺は何とか自力で理科室まで行って


最終的にこの結論に辿り着いた。







51.まあ、何とかなるよな!








「あー腹減った腹減った!」


「・・、あんた弁当は?」


「あ・・忘れた!!」


「どんまい。早く購買行かないと売り切れるわよ」







購買、か・・懐かしいな。


立海では何故かみんな俺に弁当くれたからなー・・すっごい美味しかった!


財布(勿論の)を持って(多分)購買へと走る生徒達の跡を辿って行く。


うむ、やはりどこの学校の購買も混んでいるらしい。


我先にと押し合っている中に俺も自らの体を押し込ませる。








「おばちゃん!おにぎり2個とクリームパンとカレーパン!」


「あいよ!500円!」


「はい!」







よっしゃ、何とか買えたなー!


足取りも軽くるんるんな気分で教室に戻ろうとした瞬間。前方から見覚えのある影が走って来た。







先輩!こんにちは!!」


「(・・”チョタ”だっけ?)ちわっす!」


「先輩、聞いてください。この前の話の続きなんですけど・・」


「うん?あ、ああ・・この前の話ね!どうかした?」


「はい、将来の夢決まったんです!」


「おお!」







凄いな、も後輩と真面目な話するんだな・・相談とか乗ってあげてたのかな


たまには先輩らしいことも、アイツするんだな!


『チョタ』は目を輝かせながら俺の肩をがしっと掴む。


おお、こいつ希望に満ち溢れてんぞ。







「将来の夢、は・・」


「おお!おお!」


「将来の夢は――世界遺産です!!


「おお!そうか!!!・・ってちょっと待てええええ!!!!?!?!







「え?何ですか?」と首を傾げるチョタ。


いやいやいやいや!明らか可笑しいだろ!!!







「とりあえず目標は・・アヌンツィアータの遺跡地域、ですかね・・


えっチョタ遺跡になるつもりなの?


夢は大きい方が良い、って先輩が言ったじゃないですか。遺跡なら大きいですよ


「うん。確かに色んな意味でね







まだチョタも中2だもんな・・夢、見させといた方がいいよな?訂正しない俺は合ってるよな・・?


とりあえず笑顔を浮かべてチョタを激励していると、いきなり背後から頭をコツンと叩かれた。







「こーら。お前はまた長太郎困らせてんのか」







いや、どっちかって言うと困っているのはこっちです!


片手にパンを持って現れた好青年、・・確かこいつ宍戸とかいう奴だ。







先輩に進路相談してたんですよ」


「へえ。そりゃまた随分早い進路相談だな――あ、おい。、今良いか?」


「え?ああ、平気だけど・・」


「あ、じゃあ俺もそろそろ行きますね。さようなら、先輩!」


「あ、ばいばーい」







何か用?と向き合えば、「あの、さ・・」と口を濁す宍戸。


心なしか顔が赤い。嫌な予感がする。







「っだー、やっぱ駄目だ!」


「!?」






持っていたパンの袋を俺に押し付け、「やる!」と声を荒くする。


え、俺なんか怒られることした!?でもパン貰ったんだけどこれ何事!?







「俺、お前が好きだから!」







口を一文字にして、俺を真っ直ぐ見つめる。








「へっ・・?宍戸も好きなの!?!?


「・・『宍戸、も』・・?」


「こ、混乱する・・」


「じゃ、じゃあ・・」


「(だって俺日吉君と)付き合って・・」


「!」


「(断らなきゃ駄目だよな・・でもが本当に宍戸のことすきだったら・・)」


「あ、ありがとうな」


「(あっ!保留にしてもらえばいーのか!で、でも俺のこと)す、好きだから・・」


「ん、俺も。テニスで今忙しーけど、のこと大切にすっから・・」


「(あー!醜い感情は捨てろって!俺!格好悪いぞ!?)」


「じゃあ・・またあとで、な?」







頭を優しく撫でられて意識が覚醒。え?今どういう話の流れ?


気がつけば宍戸は背を向けて廊下の奥へと消えていった。


おにぎり2個、パン3個、日吉くん、宍戸。



こ、これをどうしろと・・!?





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