ああ、どうしよう。


あの時はうおう!あたしが副団長!?宍戸が団長!?うおう!ってなんかてんぱってただけなんだけど、後々考えるとこれは色々・・やばいんじゃないだろうか!
宍戸は由梨ちゃんと別れたてだし、あたしは長太郎くんと付き合っている。なんだか、気まずい。気にしすぎなのかもしれないけど、気まずい。


「よし、。俺素晴らしいアイディア思いついた」
「え、何?」
「お前は俺の隣でオブジェでもやってれば良いと思う」
「殴るぞ」


放課後、明後日に控えた体育祭の為にグラウンドで練習するあたし達。あたしと宍戸は知っての通り団長と副団で同級生は勿論、下級生まで引っ張っていかなければならないと言うのに何故かベンチに座ってぐーたら話してます。
え、どうしてかって?それはやっぱりリコちゃんや他の男子達があたし達の代わりに指示を出してくれているからです。本当駄目なリーダーでごめんなさい。


「でもさー、中学最後の体育祭なんだよな」
「なんだか早いよね、3年間。」
「これから高校行ってー大学行ってー、その後もう社会人だぜ?ちょっと怖くね」
「不安だよね。10年後の自分って何か想像出来ないし」


なんとなく空を見上げる。最近は雨も降らないで綺麗な青空が続いてるなあ。しかも暑いし。そろそろ夏が来るのかな。


「宍戸亮ー」
「あ?」
「は、ハゲー」
「・・」
「いたっ」


いきなりチョップを食らった。宍戸チョップを食らった。結構痛かったから、多分容赦してなかったと思う。
頭を擦りながら隣の宍戸を睨み付けようとしたら宍戸は鼻で笑ってた。何だか悔しかったからフッ!と声に出して笑ってみた。


「10年後もさー、こーやってお前と馬鹿やってんのかな」
「えっ」


あ、あ、あ、たしの馬鹿野郎。不覚にもどきどきしてしまった。隣の宍戸はぼーっと空を眺めている。あ、当たり前だ!今の台詞に深い意味は無いのに!アーッ!自己嫌悪ウオオオー!


「ど、どうだろーね」
「そう考えるとちょっとだけ楽になんね?」
「――うん。そうだね。なんか安心す・・るかも(やばい、声裏返った!)」
「だよな」


そう言って暑さの所為か頬を少しだけ赤くさせて、宍戸は嬉しそうに笑った。つられてあたしも笑った。どういう形であれ、一緒に居られたら幸せだと、柄にもない事を考えてしまった。


宍戸に会えて、良かったなって。