先手必勝だ!と言わんばかりにあたしが乗っている騎馬は黒澤さんの騎馬へ突っ込んでいく。

黒澤さんたちの団、青団の騎馬はじりじりと間合いを詰めてくるタイプだった。今目の前で学んだことだ。
だからいきなり突進してきたあたし達に驚いたんだろう。一瞬躊躇った様に立ち止まり、そして同じく突進してきた。


「〜っ!」
「ぐっ・・!」


目の前にいる黒澤さんに掴みかかる。掴みかかるって表現はおかしいのかもしれないけれど、現にあたしは掴みかかっている。勢いがつきすぎたのだ。

ぐぐ、ぐぐ、と黒澤さんを押していく。なるほど、これは持久力戦タイプか!こう、爪で引っかきあう?みたいなタイプじゃなくて良かった。力勝負なら得意だ。何度宍戸と殴り合いの喧嘩をしたことか!

黒澤さんを大分押したところで、一気に間合いをつめて黒澤さんの鉢巻に右手を伸ばす。左手は向かってくる黒澤さんの両手を掴む。

そして、ついにあたしの手が青い鉢巻に触れた。


「よしっ・・っいた!!」
「きゃああ!」

ピピー!


黒澤さんの最後の反撃とでも言うのだろうか。鉢巻をあたしが奪った瞬間、黒澤さんの長い爪があたしの顔を引っかいた。痛い!ナニコレ!猫に引っかかれたみたいにヒリヒリするんですけど!!

バランスを失った黒澤さんの騎馬はみるみる崩れていく。あたし達の騎馬も崩れかけたが、なんとか持ち直して態勢を整えた。


『只今の結果!赤団の勝ちです!!』
―――ワアアア!


赤団の応援席を振り返れば、旗を大きく振りながら派手に喜んでいるみんなの姿が見えた。


!やった!!」
「うん!勝った!」
「やったー!!」
「っしゃああ!」


黒澤さんから奪い取った青い鉢巻を握り締め、太陽に向かって突き上げる。


―――ワアアアアア!!


一際大きくなる歓声に、思わず笑みがこぼれる。


「取ったどー!!」


うっほ!超気持ちいよコレ!!