「おい田中!あたしのパンも買ってきて!」
「やだよめんどくせーな!」


ぎゃいぎゃい。わいわい。
私もあの中に入りたいぞ。私も田中にパンを頼みたいぞ。だけど、此処で声を掛けたらハルさんにぼこぼこにされること間違い無しだ。超怖い。カイくんも今回ばかりは助けてくれなさそうだ。

レグランデで過ごして3ヵ月。怪我もすっかり完治し、さあ〜て私は何をしたら良いんですかねぇ。なんて考えてたらすぐトレーニングだ。いや、地獄の修行だ。どうやら私は本気でスパイに育て上げられるらしい。日々ヒキさんとハルさんに重いトレーニングを科せられてきた時にひしひしとその事実を実感した。
少しでも手を抜こうと思ったら3倍の重さでトレーニングが返って来る。しかもご飯抜きでオールナイトだ!あの2人は鬼だ・・・・・・なんて言ったら今日のトレーニングやばそうだから何も言わないけど。所詮私はチキンだけど!
数週間前のヒキさん達の会話がフラッシュバックする。学校に通えたのは嬉しいけど、ビバ地味ライフを送るハメとなったきっかけの出来事だ。


。きみは並森中に転校してもらうよ」
「え、学校ですか!学校に行かせてもらえるんですか!」
「馬鹿じゃ困るだろーが。ただでさえ馬鹿なのに」
「・・・・・・。」
「それで、『病弱で地味な子』として通って貰うから。」
「空気とさして変わらないような子になれば良いんだよー!」
「・・・・・・・・私はしゃぎたいです。」
「長期任務の時どうすんだよ。病弱で通っておけば怪しまれずに済むだろ」
「そういうこと。それと並森にはボンゴレファミリーの10代目とファミリーがいるから近寄らないようにね」
「え!学校までマフィアがいるんですか・・・!」
「いつでも気を抜くなってこと。くれぐれも失敗しないように、・・・・・・ね?」


その時のヒキさんの笑顔。例えるのなら大仏・・・・・・いや、大仏よりも怖かった。仁王像よりも怖かった。だって一瞬心臓止まったからね、アレ!
それで結局私はこんなナリで学校生活を送っています。なんと不幸な事にボンゴレ10代目、沢田綱吉とその仲間達と同じクラスで。最新の注意は払ってるものの、やっぱり羨ましいな・・・なんて感じる事がたくさん。
私だってあんな風にじゃれつきたい。華の女子中学生だ!でもな、ヒキさんの命令は絶対服従だからな。うん。しょうがなよい私。


「・・・・・・、」


ただそれでも、やっぱり彼のことを思い出してしまうのは仕方ない。


受け入れたつもりだけど、心のどこかで拒否反応を示してる。