いやいやいやいや、しょうがないじゃん。だってさーちゃんがさー恋適っちゃったんだよ。跡部との。やばくね?いやさ、あたしだって最初は信じてなかったよ、うん。そして自分がやるなんて思わなかったけどさ。こう・・・MONO消しゴムのケースの裏に好きな人の名前書いて使いきる、ってやつ。ばかばかしいけどさ、ちゃんがこれやって使いきった瞬間跡部に呼ばれて告られたんだよ?ありえなくね?だってぶっちゃけちゃん地味系だし跡部はアレだろ。派手派手ハデーズだろ。どうみてもくっつきそうにないじゃん。ろくに話したことだってなかったのにさー。だからあたしも頼りきるしかなかったんです!だってちょっと好きなんだもんよ!・・・うん、ちょっとだから。別にそんなに好きじゃないからね。
授業中、こそっと消しゴムのケースを外してみる。いや、外さない方が良さげだけど気になるじゃん。無性に。・・・白いゴムに書かれた黒い文字『宍戸 亮』・・・なんか呪ってるみたいだなー。でもこれで恋が叶うなら大したもんさ!ハッハ!本当ちゃんの恋が叶ってから学校でブーム来たからね。MONO消しゴムブーム。やばいからね。女子みんなやっちゃってるからね。・・・あたしも便乗してやっちゃったんだけど。だってさー聞いてよジョンソンー。あたしとアイツ、本当うんこな仲なんだよ。挨拶がアレだからね「よっ!今日もキモいな宍戸!」「おう!お前もイタいな!」これを笑顔で交わすからね。恒例だからね。でもそれが楽しかったりもするんだ・・・って、あたしMじゃないから。恋する乙女ってやつだから。
でさー、難しいことにあいつ彼女いるんだわー。それが可愛い子なんだわー。やばいよね。あたしその子の恋応援してたんだ。その子は芥川が好きって言ってた。すげー協力したんだよ、あたし。でも気付いたら宍戸と付き合ってるし?アッハッハ!あたしのが宍戸好きだったよ!小学校の頃からちょっとキュンときてたもんよ。で、聞けば宍戸から告ったって話。は〜あ〜なくね?だってあの子本気で芥川にときめいてたべ。意味わかんねーよ。でも「ああ、うん、ふーん、宍戸と付き合ったんだね、らぶらぶじゃんね」って普通に会話しちゃってるし。笑えることにもうすぐで1周年だそうです。手も繋いだしキスもしたらしいです。ラブラブらしいです。あたし1人、ずっと動けないでいんの。ずーっと止まってるんだ。さらにさらに3年でクラス替え。あのバカップルと同じクラスです。















「あっ宍戸おっは〜今日も相変わらずキモいね〜」
「おはよー。お前今日はいつもに増してイタいな!」
「あっはっは!ありがと〜宍戸うんこー」
「あっはっはお前女の癖に『うんこ』とか言うのマジ引くんですけど」
「ごめんねー彼女ちゃんみたいに可愛くないからー」
「〜、おま、それ、か、かんけーねーだろ!」
「お顔が真っ赤でござ〜い」
「ウザ!」


そう言って席に着くと彼女ちゃんがあたしの前にやってきた。いや、別に嫌味とか言いにきたんじゃないよ。マジで。本当、彼女ちゃん・・・うん、由梨ちゃんって言うんだけど。由梨ちゃんとは仲良いし。抱きついたりするし。主にあたしから。可愛いんだよね〜料理部だしさ〜嫁になっちまえコンチクショウ!


「由梨ちゃんおっは〜」
ちゃんおっは〜」
「旦那に話し掛けてこないの〜?」
「だ、だんな・・・・・。うん、昨日メール来なかったんだよね」
「え?宍戸から?」
「夜にメールくれるつったから2時まで起きてたけどこなかった。」
「まじで〜?今日話しかけた?」
「ううん」
「なんかあったんだって!あとで聞いてきなよ」
「うん」


そこまで会話すると不意に由梨ちゃんが抱きついてきた。チクショウ可愛い。これが宍戸の彼女。納得です。うん、本当あたし叶わなくて良いからね。幸せにやってほしいよ?うん。これは本当に心の底から思ってる。なんかもう色々あったんで今の状況で満足しちゃってるしあたし。今告白したって困らせるだけだしね。宍戸も由梨ちゃんも。

だからさ、こーんな可愛いらしいジンクスくらい許してやってね。これで終わりにするから。