あ。消しゴム使い終わった。








凄い。何ヵ月も使ってたのに何だかあっけなかった。ジ エンド オブ 消しゴム。さようなら。何だかイマイチ実感沸かないあたしです。・・・そうだよなあ。消しゴム1つで運命変わったらクソくらえ!だよね。うん。・・・あたし、宍戸のこと諦めれたかな?

教室の前の方ではダンスペア決めが行われている。男女背の順に並べて合わせて行く。どきどき。発表の時間。いや、今更本当宍戸とじゃなくて良いよ、あたし。まじでまじで。――そして今、男子の列に『宍戸』と名前が書かれる。その隣り、は


「っげ!お前かよまじ最悪!」
「っあり、ありえねー、いやだ、さいあく」


予感的中どんぴしゃり。なに?これがジンクスの効果ですか?
















「で、結局どうなったのさ。」
「おかげさまで仲直り元通り。ご迷惑おかけしましたー」


にこり、と笑顔でそう答えた由梨ちゃんはなんだか眩しい。可愛い。これこそ女の子だ。由梨ちゃんの言うとおり宍戸との仲は元通りになったらしい。良かった。安心した。なのにあたしは。


「由梨、ちゃん」
「んー?」
「――、っ、あ、なんでもない」


なのになんであたしは、『ペア変わろう』って言い出せないんだろう。
一言言ってしまえば良いだけなのに。あたし、ずるい女だ。・・・本当に。本当に最後にするから。宍戸と一緒に踊ったら、全部全部終わりにする。だから、最後に一緒に躍らせて下さい。(あー、本当最悪だ)


「由梨ちゃん」
「んー?」
「・・・あーいとぅいまてーん。」
「え、なに」


ごめんね。














まちにまった・・・いやいや、まってねーよ、なダンス練習の時間。今日はペアで踊る日らしい。ダンスは・・・うん、なんとか。はー、どきどきするな、これ!だって手繋いだり背中合わせたりするんだよ。うーわームリムリムリムリ!


「お前踊れんのかよ」
「あたし程華麗に踊れる女はいない」
「俺ほど華麗に踊れる男はいない」
「おっあたし達華麗コンビか!」
「すげーな!俺達最強だな!」


ジョーク飛ばしまくってるけど内心どきどき。なんか、もうだめだ。大好きって叫びたい。大好きだ、こいつ。好き過ぎる。あと、数日間だから。本当、好き。その笑顔とか全部全部好き。・・・由梨ちゃんに、負けないくらい好き。(って、あたし遅すぎるよ・・・)


「・・・なあ、ってさ」
「ん?」
「――好きなヤツ・・・居るのかよ」




「(えっ、あ、う、え!?)――いる、よ」