「先生課題持って来ました」
「今度は遅れるなよ。それと職員室入る時は服装直せ」
「はいすんません・・って何か良い匂いしません?」
「ああー・・榊先生がピザ奢ってくれてな」
「ええ!?良いなあ!先生俺も一口!」
「バカ野郎、はさっさと弁当でも食え」
「ずりぃ!」


そうやって強制的に職員室を追い出された俺だけど、心の中にはモヤモヤ感が残る。
なんで先生、お昼休みにピザ頼んでんの!?俺ら生徒はいけないの!?先生はやってて生徒はやっちゃいけない、って何かずるくない?これも子供の考えなのかもしれないけどさ!

教室に帰った俺は昼飯を食べていた宍戸たちの元へ戻り、まっさきに鞄の中から生徒手帳を取り出した。


「んだよ。校則でも守る気になったのか」
「まさか!いやー、先生達がピザ頼んでてさ」
「まじ!?ズルイC〜!俺も食いたい!」
「な!?思うだろ?――お前らも生徒手帳読め。手伝え」
「何をだよ」
「『昼休みにピザを頼んではならない』っつー校則があるかどうか、探せ」


すると奴等は驚いた様に目を丸くしたが、すぐにニヤリと笑ってそれぞれ生徒手帳を取り出した。
『制服の着方』『部活動について』『成績について』『生活態度について』――どれにも、ピザを頼んではいけないなんて書いてない。


「ないよな?」
「ああ、見つかんねーぜ」
「お前らも、ピザ食いてーよな?」
「勿の論!」


俺達の意見はすぐにまとまった。











3時間目が終わった10分休憩の時。芥川と向日と宍戸が俺の机に集まった。



「よし・・んじゃあ、かけんぞ」
「おー!」



メニューは予め決めてある。食いたい盛りの中学3年生の胃袋は無限だぜ!ってことでピザは4枚頼むつもりだ。
若干くしゃくしゃになりかけているチラシを片手に、割と有名なピザ屋に電話をかけ注文していく。


「あっ、それで時間は12時半頃に着くようにお願いします」
『はい』
「それで、裏門で待ってるんで、正門じゃなくて裏門に届けてください」
『かしこまりました』


ツーツーツー。

隣では3人が目をきらっきらさせながら報告を待っている。
「バッチリ!」と親指を立てると、3人の顔にも笑顔が浮かんだ。
ああ、楽しみだな!学校でピザ食べれるなんて夢みたいだ・・!これで先生にバレなければ良いんだけど・・つーかバレても良いか。校則に載ってませんでした!って言えばいいもんな。

先生にもバレたくないけど、跡部と忍足と滝にはもっとバレたくない。あいつら、本当に怖いんだ。跡部は小学生からの付き合いだけど、滝と忍足なんか特に怖い。
何故だかあの3人は俺らが問題を起こすととても怒る。部活には迷惑かけてないのに何でだろうな。しかもさ、その怒り方が半端なく怖いんだ。
いや、口許は笑ってるんだけど、目が笑ってない!っていう表現あるだろ?まさにそれ。実際に見てみると半端なく怖い。いっそのこと怒鳴ってくれた方が楽なのに!

そういえば中1までは跡部も一緒にイタズラやってたのにな・・あの頃の跡部は可愛いかった。


軽く思いで話も交えて奴等と盛り上がっていると、4時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。芥川なんかはにこにこしながら「くーっ!待ちきれないC〜!」って言いながら席に戻っていった。

俺だって楽しみさ!