本当美味しい設定なのか不味い設定なのか分からなくなってきた。
…けど、今私が此処で動かなかったらもっとやばいことになる!
44.人生ノリが命
時は動き出した筈なのに動かない涼とレギュラー陣。
ここで固まってたら、一生動けない気がする。
…ので。
「やぁみんな☆1分少々お待ちいただけるかな?」
ちょっと爽やかに挨拶してみた。
唖然としているレギュラー陣を尻目に、突っ立っている涼に後ろを向かせて声を潜めて会話をする。
「えっ…ちょ、……は!?俺がいる!?」
「静かにしろ涼!」
「お、お前誰だよ!俺の体返せよ!」
お前だって私の体返せよ!
いや確かに動揺する気持ちも分かるけど今はそんなこと言ってる暇じゃない。
涼に睨みを利かせると少し静かになった(涼って目力あるもんな)
「いいか、涼。これは、夢だ。私、と柳瀬涼が入れ替わっちゃった☆夢だ。」
「あ、夢?――そういう事か…そうか、これは夢なのか…」
「とりあえず涼、黙って笑ってればいいから!」
「ごめんなさい…こんな時どういう顔をしていいか分からないの」
「もうそのネタはいいから!」
とりあえず、夢だから!適当に私に話合わせとけばそのうち夢覚めるから!
口早にそう伝えると、涼は「そうか、夢か。そうか。納得だ。分かった」と頷く。
さて…とりあえず涼は置いといて!
こっから本番だ、…がんばれ…このピンチを切り抜けろ!
「…涼。。どういうことかな?」
「ちゃんと説明してほしいC?」
言うまでもなく、すっげー冷や汗かきまくりです。
大丈夫、落ち着け…よく分からないが落ち着け!
私はなるべく平常を保ちながら口を開いた。
「あの、ほら…あれだよ」
「アーン?なんだよ」
「ほら…その…」
「はよ言わんかい」
「…っ、…れたんだよ…」
「なんですか?聞こえません」
「俺は今日家にYシャツを忘れてはスカート忘れたんだよ!!」
・・・しーん
…やっぱり駄目か
苦し紛れの言い訳にしては中々良い線行ったんじゃないかなって思ったんだけど!駄目か!どうしよう!
次の言葉を待っていると、真田が徐に言葉を紡いだ。
「衣服を家に忘れるとはお前達どれほど急いでいたんだ!もっと早く起きろ!たるんどる!」
え?そこ?
吃驚して固まる私。「ああ、お前らならやりそうだもんな」「しょうがないな」「今度から気をつけろよ」と思い思いの言葉を発する彼ら。
・・・こいつらアホ?
「もしかして、今日スカート忘れたから学校来なかったのかよ」
「あーそうそう!てへっ!恥ずかしくて…」
なんか涼ノリノリだし!
っていうか皆も皆だ!なにこの無駄なノリの良さ!いや助かるんだけどさ…
鞄ならまだしも、何処にスカートやYシャツ忘れて出て行く奴が居るんでしょうかね。
あれじゃんね。露出狂で逮捕されるじゃんね。
涼にいたっては何処の南蛮の学生だよ、って感じですよね。
いやでもこれでなんとかなる!そう思い安堵の息を漏らしていると何処からか空気の読めない発言が。
「でもよー。何でと涼こんな倉庫に居た訳?」
「あ…いや…その…」
「あー涼、アレだろ。女子から逃げてたんだろぃ?」
大変だよなぁ、と呟きながら助太刀してくれたブン太がすっごく輝いて見えた!
それに相槌を打てば納得する彼ら。…涼って女の子から逃げてるんだ。いったい何故だ。
涼の方は「風に呼ばれて…」ということで何とかなったらしい。何故。
「そういえばは何処行ったんスかね」
「ッアー!ちゃんならさっき榊先生が来て連れて帰りましたよ!」
「えー!俺もっと遊びたかったのにー!」
なんかすっごい頑張ってるよね、私。
元はといえばルンルンの所為なのに…!
幸ちゃん達の話を聞いていた所、どうやらもう遅くなってしまったし練習試合は後日に延期しよう、という話だった。
その話をしている間にこっそり涼を誘き出して話をしてみる。
「涼、この夢もう少し続くかも。」
「まじでか」
「うん。だから涼はとして過ごしてて!私は涼として過ごすから!ってか詳しいことは夜電話して話すよ!」
「うおー!なんかすっげぇリアリティーある夢だなー!でも夢なら少しくらいハメ外したって」
「駄目。」
「ちゃーん!何話してるの?内容によっては涼潰すけど帰るよー!」
「涼くん、たまには一緒に帰りませんか?」
「どっちにしろ潰すけど」
「はぁ〜い☆今行きまぁす!…じゃあな、俺!うまくやれよ!」
爽やかに手を振って去っていく涼。…もとい、爽やかに手を振って去っていく私。
・・・我ながら気持ち悪い。
苦笑いしながらも涼に手を振って、私も立海の元へと急いだ。
すっごく突っ込みどころ多いけど…第一難関、なんとかクリア?
N E X T
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