結局昨晩はお風呂は涼のものと思われる度のキツい眼鏡をかけて入った。


私自身眼鏡はかけないからそのおかげで視界がぼやけて余計なものは見えませんでした。






47.だって女の子だもん







涼の言ってた学校で仲良くしている友だちの名前は”恭”くん。言うならばリコ的な存在だろう。


恭くんとは家が近い為毎朝一緒に行っているとか。うむ、助かる。


適当に朝食を済ませてテレビを見ているとインターフォンの鳴る音が。多分恭くんだ。


慌ててテレビを消してカバンを持って玄関へ向かう。ネクタイをしなければいけないんだろうけど、やり方が分からないから後ででいいや。






「おはよー…恭」


「なんだよその間はー」


「い、いや?なんでもない!」


「そうかー」






うん、いたって普通の子だ。


そりゃそうだよなあ、テニキャラみたいな美少年がそこら中に居る訳がないもんな!


その後は他愛もない会話をしながら恭くんと学校へ向かった。






* * *






学校が近くなるにつれて通学中の生徒が増える訳で。何故か私への視線も増える訳で。ちょっと快感を感じてる訳で。


流石にこの熱い視線に気づいて、恭くんに「俺ってモテるの?」と聞いたら殴られた。グーで殴られた。






「きゃー!!柳瀬先輩!!」


「涼くぅん!こっち向いてー!」


「柳瀬先輩ー!!きゃあ〜!」







校門に入るなり女の子達の黄色い悲鳴。すごい、私モテモテじゃん!


ちょっと興奮してきちゃって隣の恭くんの顔色を伺うと無表情。どうやらいつものことらしい。


熱心に手を振ってくるのでそっちを向いて控えめに微笑んであげればその子の顔は赤くなっていく。


やばい、楽しい。






「涼ぐーん!」


「い゛っ!?なに、あの子…」


「あー、あいつな。4組のおかまだろ?お前も朝から大変だなー」






・・涼のことが好きな人の中にはおかまも居るようです。


でもまあ愛に性別は関係ないもんな!


そう思ってそのおかまの子にも軽く手を振った私でした。






* * *






涼の言った通り恭くんとは同じクラスで何とか自分の席も分かった。


自分の靴箱が分からなかったりする度に「…痴呆症?」って聞かれたけど。


そして自分の席で荷物を整えていると何と仁王くんがダルそうに入ってきた。なるほど、彼とは同じクラスなんだ。


それどころか仁王は私の隣の席に鞄を降ろした。・・・隣の席かよ!






「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・挨拶は?」


オハヨウゴザイマス






何この服従関係!


そういえば涼って仁王に弱みを握られているんだっけか!そうか、ならとりあえず仁王に従っといた方が良いかな。


もうそろそろホームルームが始まりそうなので身なりでも直すかなー。偉いな、私!


鞄からネクタイを取り出してちょうちょ結びに巻きつける。


・・・これでいっか。






「・・・おい涼」


「あ?」


お前…その巻き方ふざけとるんか。


「俺はいつでも真面目だ」


じゃあその姿で1日中いんしゃい


オーケイ






だってネクタイの縛り方に規則なんてないだろ!?・・・え?あるの?


でもまあこれでいっか!


そう思って適当に教科書をぱらぱら捲っている、と。






やっぱり視線が痛い・・貸せ」


「なんだよ、どっちなんだよもー・・ほいっ、と!」






ちょうちょ結びのネクタイを外して仁王に投げつけると、溜息をついて仁王は立ち上がる。


そして私にも「立て」と言うので一応立ち上がる。なんだこの仁王。ほくろが近い。






「ん、こっち向きんしゃい」


「おう?」


「「「キャー!!」」」






私の首にネクタイをかけ結び始める仁王。それを見て興奮する女の子達。


ちょ…なんだこれ、めっちゃ仁王大好き!


やっぱ仁王かっこいい!仁王にネクタイ結んでもらってる私万歳!!






「はい、出来たぜよ」


「さ、さんきゅー」


「そのネクタイ、――解くのは俺だけじゃよ?」


「「「キャー!!」」」






こいつ…面白がってる!


にやけてる口元が何よりの証拠だ!こいつ、私と女の子の反応を見て面白がってやってる!


そして最後に仁王は私の手を取ってにこりと可愛いく笑った。






「俺たちお友だち」






こいつ…可愛い!




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