それから何事もなく時間は進み(ちょっと会話に詰まることはあったけど!)何とか昼休みまで辿り着いた。


そこで気づいた。


私、弁当持って来てない・・!






48.盛り過ぎてる君達へ






「涼ー!飯食おうぜ」


「俺…弁当持ってきてねぇ…」


「あっ、涼くんこれどうぞ!」


「あんた抜け駆けずるいわよ!はい、柳瀬君!」


「私なんて柳瀬くんのお風呂上りブロマイド持ってるんだからね!柳瀬君どうぞ!」


「涼くんあたしのも!」


「わ、私のも!」







・・・とまあ心配は皆無でした。


あっという間に机の上は色とりどりの弁当箱で埋まり、苦笑い状態の私と恭くん。






「お前いつも大変だな、本当」


「あー、お、おう(いつもなのか・・)」






・・私、涼になりたい。


こんなモテモテ生活最高だよなあ!


さて、どのお弁当からいただこう。ていうかこれ全部食べれるのか!?


そんな幸福感に浸りながらもお弁当を眺めていると不意に後ろに誰かが乗ってきた。






「涼ー・・弁当分けてくれー」


「うおお!ブン太!?(いや、「丸井」か!?)」


「腹へって死にそー・・」


「え、ブン太だってお弁当くれる女子居るんじゃねーの?」


全部もう食った。


まじかよ!






さすがブン太。恐るべし鉄の胃袋!


「でもな、これは俺のためにくれたんだよー」とブン太に言ってやると、私の耳元で不満な声を出す。


涼の為に作ってくれたんだから、涼が食べないと女の子が可哀想だ!






「なんだよこのオクラ星人ー!!


「ブン太、多分それを言うなら『根暗』な?


お前なんてエリンギで十分だ!


その格差どうやって決めてんの!?!?






ブン太は私を暫く羽交い絞めにし、気が済んだのか今度は近くに居た仁王の元へ行ってしまった。


でも私はブンブンだから許します。


忍足がやってきたら即プロレス技掛け返します。







「ふー、やっと食えるよ」


いつも何かしら技掛けられて大変だなー・・


「そんなことないぜー(やっぱりいつもなんだ)」






涼ってこんな弄られてるんだ。いつも大変だろうなあ・・。まあ、どうでもいっか!


そう思い一番手前の可愛いらしいお弁当箱を手に取る。中身は三色丼。うわ、凄く綺麗!


凄いなあ、近頃の女の子はこんなお弁当作れるんだ!


手の込んだ弁当に感動しながらも手を進めていると、突如響き渡る黄色い悲鳴。


レギュラー陣の誰かかな?――あ、幸ちゃんだ!






「やあ、涼」


「やっほー幸ちゃん!」


「・・・え?」


「は?どうしたの幸ちゃ――はっ!






やばいぞ。これはやばいぞ。はんぱなくやばいぞ。


どれだけやばいのか、っていうともうとにかくやばい。そんな感じ。



間違えて「幸ちゃん」って呼んでしまった。涼が”幸ちゃん”なんてそんな親しげに――ありえない!






「いや、ほら…なんか、その――な、仲良くしようよ!ね、幸ちゃん!


「仲良く・・?まあ、良いけど。でも、その名で俺を呼んでいいのはだけだ。


ご、ごめんなさい!!






頭を下げると、頭上から聞こえてくる言葉は「怪しいな・・」。


怪しいな、って!完璧警戒態勢じゃん!


もうこれ以上ボロ零さないようにしないと。っていうか私がだよ幸ちゃん!!なんだよこの複雑な気持ち!






「…なあ」


「あー?」


恭、俺今日早く帰りたい


・・ダジャレか?






違うよ!









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