いや、そんなつもりはなかったんだって。


俺もてんぱってたしさあ・・まあ、なんというか・・しょうがなかったんだって!








50.涼の供述 その1








自称妖精のりんりんだかロンロンだかが来て一方的に説明されて、


から電話が掛かってきてお互い頑張ろうって言って。


いやあ、さあ!すごく非現実だけど不思議だなーって思う程度で、実はすっごいワクワクしてたんだよ!








、おはよう」


「お、おはよう・・ございます?」


「何ビクビクしてるのよ。気持ち悪いわね。」


「あ、はい、ごめん!」








昨晩の内にの携帯から『』という名前を探し出し、何とか一緒に登校することを約束してもらった。


氷帝までの道とか分かんないし、忍足に頼んだら何されるか分からなかったから。


うーわー、スカート短くて怖ぇし、ついつい『俺』とか言っちゃいそうでドキドキすっけど・・このトキメキには勝てねぇ!!!


まっ、ちょっとくらいハメはずしてエンジョイしたって良いよな!








*  *  *








「おはよー・・」








チグハグな会話を交わしながらもなんとか学校へ到着。


も同じクラス(から聞いた)なのでそのまま一緒に着いてって、教室の扉を開ける。


すぐそこに居たクラスメイトに挨拶をすれば、快い挨拶が返ってき―――








あああおおおううういいい!おはよーさあああん!!」








ごめん。撤回。何か変なの居た!!!ウザイの来た!!








「俺の〜!今日も元気か!?」


「うっわ〜居るよな・・こういう朝っぱらからテンション高くてウゼー奴


「そういう口を聞いちゃあいけませんっ!おかん怒るで!エジソンもビックリなマッハ級で怒るで!








あ、そうだった、口調直さなきゃ!


やっぱ慣れないなあ、これ。の口調ってどんなんだっけ?結構乱雑だった様な気ぃすっけど・・?


あれこれ考えていると、気づけば忍足は何処から取り出したのか、雑巾で床を拭いている。








「・・ねぇ、忍足」


「な、何やっ!」


「一応聞くけど・・お前、何やってんの?


「自主的シンデレラ」


忍足・・悩みがあるなら言ってよ。俺いつでも相談に乗るからな?


「その扱いやめて!?が俺の事無視したからいじけてただけなんやって!!」








とりあえず忍足は、朝から忍足全快でした。



それからは跡部が登校してきて、怪しまれない様にとっぽいことをしてみたら何故か殴られた。


跡部の泣きボクロを何回も押しながら裏声で、「もしもし、跡部隊員!応答せよ!」って言ってただけなのに・・。


それで授業が始まって何とかやりすごす・・前後の忍足と跡部にちょっかいを出されたりしたけど。


そして2時間目が終わった休み時間、次の授業は理科室で行われるらしいのでさんと一緒に理科室へ向かう。


理科室は1階、3年フロアは3階なので途中2年フロアの2階を通る事になったんだけど・・、


その時、偶然日吉くん(確かそんな名前)とばったりでくわした。


とりあえず、と挨拶を交わす。








「あ、日吉――くん?ちわっす」


「っ?・・どうも」


「なんか元気ないなー!先輩は心配だぞーっと」








いつも後輩にしてやる要領で、日吉くんの頭を撫でまくる。


日吉くんは俺に頭を大人しく撫でられながらも小声で、「俺のこと・・心配、なんですか」と呟いた。


だから俺もうっかり「おー。だって日吉くんのこと気になるもん」と言っちゃって・・ふ、深い意味はなかったんだ!


なのに!








「先輩、それ、どういう意味ですか」








急に日吉くんが、俺のことを真っ直ぐ見てきた。


なんだか、やばいぞ。この雰囲気はやばい。


は変な気を利かせたのか「先行くわね」と歩いて行ってしまった。(俺、道分からないのに!)








「い、いや・・だから、その」


「・・すみません。困ります、よね・・」


「そ、そんな訳ないよ!だから、さ、お・・私は、日吉くんのこと好きだから気になるんだよ?」








焦って焦って、自然と小声になってしまった自分の言葉に自分でビックリする。


え、俺、何言ってんの!?好きって言っちゃった!?


かなり小声だったから、日吉くんには聞こえなかったかな――と思ったら、ばっちり聞こえていたようで。


男の俺でもかっこいいな、と思う整った顔が近づいてくる。そして、俺の耳元でそっと囁く。








「先輩、俺と付き合ってください」


「(え゛っ!?)ちょ、え、あ、はっ!?――うん・・








俺、今なんて言ったああああああああ!???!!!


やばい、これはやばい!


慌てて訂正しようにも、日吉くんは溶けそうな笑みを浮かべて去って行ってしまった。





ちょっと待って、これは、マジでやばい。







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